この機械は何か
Home Assistantはオープンソースのスマートホーム基盤である。ソフトウェア自体は無料で、Raspberry PiやVM、NUCなど任意のマシンで動く。公式ハードウェアとしてHome Assistant Green(RK3566 1.8GHz×4コア・RAM 4GB・eMMC 32GB、HAOSプリインストール済みで電源とLANを挿せば起動する)と、より拡張性の高いYellowがある。GreenにZigbee/Thread無線は内蔵されず、使うなら別売のConnect ZBT-2を足す。価格は公式定価$199/€179。2023年発売時の$99から、部品(主にRAM)価格の高騰を理由に2026年1月と4月の二段階で値上げされた。日本の正規代理店は確認できず(未確認)、Amazon.co.jpでは並行輸入品が¥48,122だった(2026-08実測・マーケットプレイス出品)。海外公式ストア直販なら本体約¥30,000+送料・輸入諸費用が目安になる。
ロボ図鑑的に重要なのは、これが単体のデバイスではなく「家中のデバイスをローカルAPIの一つの口にまとめる変換器」である点だ。個々の家電のAI対応度がバラバラでも、HAに統合してしまえばAI側はHAだけを相手にすればいい。
接続の口
三系統すべて公式で、認証はいずれもHA本体で発行するlong-lived access token(またはOAuth)。
- REST API: ポート8123。
GET /api/statesで全エンティティの状態、POST /api/services/<domain>/<service>でデバイス制御。履歴(/api/history/period/<timestamp>)やログブックも取れる。 - WebSocket API:
/api/websocket。authハンドシェイク後、subscribe_eventsで状態変化をリアルタイム購読、call_serviceで制御。フィードバックループはここで組む。 - 公式MCPサーバー(MCP Server integration): HA 2025.2で追加され、現在も現役(アクティブインストールの約3.5%が利用)。エンドポイントは
/api/mcp(Streamable HTTP)。Assist APIをそのままツールとして公開し、家の状態スナップショット取得と露出済みエンティティの制御ができる。公式ドキュメントにClaude Desktop・Claude Code・ChatGPT・Cursorの設定例が載っている。
逆向きの「MCP client」統合(HA側が外部MCPサーバーのツールを会話エージェントに持たせる)も2025.2から存在する。
AIから動かすまでの道のり
- HAを立てる。Greenなら電源とLANを挿し、ブラウザからセットアップするだけ。
- ユーザープロファイル最下部からlong-lived access tokenを発行する。
- 最短経路はREST直叩き。
curl -H "Authorization: Bearer <token>" http://<host>:8123/api/statesが通れば、Claude(Code)にこの形を教えるだけで状態取得も制御も動く。 - MCPで繋ぐなら「設定→デバイスとサービス→統合を追加→Model Context Protocol Server」。ここに「ひと手間」が二つある。
- 経路の確保: HAが公開URLを持つならOAuthでClaude等から直結できるが、ローカルオンリー環境ではmcp-proxyを間に挟んでlong-lived tokenで繋ぐ必要がある。
- 露出設定: MCP/Assist経由で見えるのは「Assistに公開」したエンティティだけ。露出を設定しないと、接続は成功するのに何も見えない・動かせない、が定番のハマりどころ。
できること・できないこと
できる: 全エンティティの状態取得と制御(照明・エアコン・ロック・シーン・オートメーション起動)、履歴・ログの取得、WebSocket購読による「操作→結果確認→再操作」のループ。HA内蔵の会話エージェント(Anthropic・Google等の統合)にMCPツールを持たせた常時稼働構成も組める。HA自体が24時間動くオートメーション基盤なので、AIが設計したオートメーションをHA側に流し込んで自律運用に落とす使い方が実用になっている。
できない/注意: 公式MCPサーバーはSampling・Notifications未対応で、ResourcesもAssist相当のみ。露出していないエンティティには一切触れない。Green本体にZigbee/Thread無線はない。外出先からのMCP直結には公開URL(リバースプロキシ等)の用意が別途要る。
組み合わせのヒント
Nature Remo 3やSwitchBot Hub 2のような赤外線ハブ、Roborock S8やTapo C200は公式/コミュニティのHA統合が存在し、HA配下に入れれば各社クラウドAPIのレート制限や仕様差を吸収して一つの口に統一できる(各統合の対応範囲は導入前に要確認)。「AIに家を任せる」を本気でやるなら、個々のデバイスを直接AIに繋ぐよりHAを挟む方が構成は素直だ。レーティングの考え方は/ratingを参照。